幸せに対する科学的考察

14冊目
『幸せはいつもちょっと先にある』 ダニエル・ギルバート著 熊谷淳子訳

人間の幸せに関して概念的な議論ではなく、あくまで科学的に追求し、その結果をまとめた書。

結論として幸せになる方法を伝授する本ではない。本書のまとめの言葉として、

幸せを見つける簡単な公式はない。しかし、われわれの偉大なる大きな脳は、ちょっと先にあるように見える幸せに、かならずしも導いてくれないとしても、少なくともなぜたどりつけないかを教えてくれる。

と述べているようにこの本の主な議題としては、『なぜ人は自分の想像する幸せな未来に辿り着くことができないのか』ということである。その理由として著者のまとめとしては、

それでも、未来の自分と未来の状況をシミュレーションする能力は、完璧からはほど遠い。未来の状況を想像するとき、われわれは、実現しない細部を穴埋めし、実現する細部を放置する。未来の感情を想像するとき、今感じていることを無視できず、あとで起こる物事についてどう考えるようになるか気づかない。

ということである。この内容について、実験に基づいた詳細な議論を本書では展開している。
体系的にまとめられていて、どのような実験から得られた結論なのかも述べられているため、非常に納得しやすい。何回か読み直して自分の中で咀嚼したい本。

残り86冊!

幸せはいつもちょっと先にある―期待と妄想の心理学

幸せはいつもちょっと先にある―期待と妄想の心理学

著者ダニエル・ギルバート氏のTEDでのトークはこちら


ダニエル・ギルバート「私たちが幸せを感じる理由」1 - YouTube

2020年東京五輪に向けて

13冊目
『Think Ahead』 久木留毅著

日本オリンピック委員会情報戦略部門部門長である著者が、スポーツ業界に今起きていること、そして2020年東京オリンピックに向けて日本が行わなくてはいけないことについて解説している。

スポーツのビジネス化という点では、日本は欧米に遅れをとっているんだなという印象を受けた。2020年東京五輪に向けてもっとスポーツ界にビジネスの世界で活躍している人が入ってくるとより盛り上がっていくんだと思う。

一番納得できた部分は

おそらく、2020年までに組織の変革と人材育成の制度を構築した組織だけが、2021年以降も残っていく。 理由は明確である。今後50年、これ以上の機会は日本に訪れないだろう。国が法律や予算措置の見直しを含めて、これだけスポーツに関与することは、前回の東京オリンピック以来なかった。すべてのスポーツ関係者がこのときを変革の機会ととらえ、行動を起こさなければ何も変わらないだけでなく、衰退の一途をたどってしまう。

2020年は間違いなく大きな契機となるので、それを活かさない手はないし、同時に2020年後も考えていかなくてはいけない。

残り83冊!

Think Ahead ―トップスポーツから学ぶプロジェクト思考―

Think Ahead ―トップスポーツから学ぶプロジェクト思考―

フロー体験から考える仕事と生きがいについて

12冊目
『フロー体験とグッドビジネス 仕事と生きがい』ミハイ・チクセントミハイ著 大森弘訳

前回と同じくチクセントミハイ氏の書いたフロー体験についての本。本著では特に仕事と生きがいについてをフロー体験の見地を交えながら述べている。また、数多くの経営者へのインタビューから、経営者が従業員により気分良く、能力を生かして働いてもらう方法について考察している。

本著でもフロー体験が起きる条件、明確な目標、すぐ伝わるフィードバック、スキルとチャレンジのバランス、が重要な考え方になる。この3つが仕事に組み込まれていれば、従業員であれ経営者であれ、満足感高く仕事ができるということである。

そう考えると所謂職人と呼ばれるような人たちはこの3つを常に感じているから、仕事がすきになるし、その結果として職人技は生み出されてきたのかなとも思う。

残り88冊!

フロー体験とグッドビジネス―仕事と生きがい

フロー体験とグッドビジネス―仕事と生きがい

フロー体験

11冊目
『フロー体験入門 楽しみと創造の心理学』ミハイ・チクセントミハイ著 大森弘訳

最近ポジティブ心理学に興味があり、ポジティブ心理学の一端を担うフロー体験について書かれている本書選んだ。

ポジティブ心理学とは簡単に言うと「普通の人が幸せになるためにはどうしたらよいか?」について考える学問であり、詳細は下部にTEDのリンクを載せるので参照していただきたい。

本書の主題であるフロー体験とは

これらの条件が存在する時、つまり目標が明確で、迅速なフィードバックがあり、そしてスキルとチャレンジのバランスが取れたぎりぎりのところで活動している時、われわれの意識は変わり始める。そこでは、集中が焦点を結び、散漫さは消滅し、時の経過と時がの感覚を失う。その代わり、われわれは行動をコントロールできているという感覚を得、世界に全面的に一体化していると感じる。われわれは、この体験の特別な状態を「フロー」と呼ぶことにした。なぜなら、多くの人々がこの状態を、よどみなく自然に流れる水に例えて描写するからである。

ということである。本書ではそのフロー体験についてその概要からフロー体験が起こる条件、フロー体験を生活に取り入れる方法、そして人の生き方について考察している。
なお、フロー体験が起きる条件としては上でも述べられているように

目標が明確で、フィードバックが適切で、チャレンジとスキルのバランスがとれている時

ということが挙げられている。つまり日常でチャレンジとスキルのバランスを考えてものごとに取り組むことによってフロー体験を日常に取り入れることができ、より充足感を感じられるということである。

興味を持っている分野ということもあって、非常に読んでいて楽しい本だった。時間があれば何冊か関連本を読んで概要をまとめたい。

残り89冊!

フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

ポジティブ心理学についてのTED↓


マーティン・セリグマン 「ポジティブ心理学」 - YouTube

パワーポイントの作り方

10冊目
『ドキュメント・コミュニケーションの全体感 上巻 原則と手順』 中川邦夫著

プレゼンでパワーポイントを作る必要があったので久しぶりに再読。
マッキンゼー出身の著者がドキュメントの作り方について、そもそもドキュメントを作る理由から一つ一つ説明している。

ドキュメント作成の原則として
1.解・動・早
2.問題解決コミュニケーション
3.スタンド・アローン

という原則を説明し、後半ではより具体的にドキュメントの作り方についても解説している。
体系的にまとまっていて非常にわかりやすい。学生であまりパワーポイントの資料をつくったことがない人などにおすすめの一冊。

残り90冊!

ドキュメント・コミュニケーションの全体観 上巻 原則と手順

ドキュメント・コミュニケーションの全体観 上巻 原則と手順

  • 作者: 中川邦夫,コンテンツ・ファクトリー,中川学
  • 出版社/メーカー: コンテンツ・ファクトリー
  • 発売日: 2010/05/01
  • メディア: 単行本
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ナイン・ストーリーズ

9冊目
ナイン・ストーリーズ』J.D.サリンジャー著、柴田元幸

ライ麦畑でつかまえて』で知られるサリンジャーの短編集。
少々難解な部分もあったけど、表現が独特で面白い作品。
できれば原書で読んでみたいなと。『ライ麦畑でつかまえて』もまだ読んでないのでいずれ読めれば。

残り91冊!

ナイン・ストーリーズ

ナイン・ストーリーズ

いしわたり淳治の短編小説とエッセイ集

8冊目
『うれしい悲鳴をあげてくれ』いしわたり淳治

音楽プロデューサー・作詞家のいしわたり淳治氏による短編小説とエッセイ集。
帯のあおりが「この本を楽しめないなら他にオススメはありません!」というものだったので、逆に期待してなかったけど、良い本だった。
小説はあまり好きではなかったけど、エッセイがどれも上手。日常の些細なことから話をふくらませて、それを短くかつ読んだ後に余韻が残るようにまとめているのが凄い。

今月の目標だった8冊はなんとか到達。ちゃんと100冊読み切れるようにがんばろう。 残り92冊!

うれしい悲鳴をあげてくれ (ちくま文庫)

うれしい悲鳴をあげてくれ (ちくま文庫)