幸せに対する科学的考察

14冊目
『幸せはいつもちょっと先にある』 ダニエル・ギルバート著 熊谷淳子訳

人間の幸せに関して概念的な議論ではなく、あくまで科学的に追求し、その結果をまとめた書。

結論として幸せになる方法を伝授する本ではない。本書のまとめの言葉として、

幸せを見つける簡単な公式はない。しかし、われわれの偉大なる大きな脳は、ちょっと先にあるように見える幸せに、かならずしも導いてくれないとしても、少なくともなぜたどりつけないかを教えてくれる。

と述べているようにこの本の主な議題としては、『なぜ人は自分の想像する幸せな未来に辿り着くことができないのか』ということである。その理由として著者のまとめとしては、

それでも、未来の自分と未来の状況をシミュレーションする能力は、完璧からはほど遠い。未来の状況を想像するとき、われわれは、実現しない細部を穴埋めし、実現する細部を放置する。未来の感情を想像するとき、今感じていることを無視できず、あとで起こる物事についてどう考えるようになるか気づかない。

ということである。この内容について、実験に基づいた詳細な議論を本書では展開している。
体系的にまとめられていて、どのような実験から得られた結論なのかも述べられているため、非常に納得しやすい。何回か読み直して自分の中で咀嚼したい本。

残り86冊!

幸せはいつもちょっと先にある―期待と妄想の心理学

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ダニエル・ギルバート「私たちが幸せを感じる理由」1 - YouTube